内容はカイトに限らず種種雑多です。好みの選択は「カテゴリー」をご利用下さい。日本語訳は全て寛太郎の拙訳。 2010年10月18日設置
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台風一過で秋が来る。大気はグッと引き締まり、わずかに温度と湿度を下げた風はすでに夏のものではない。空気が冷えると海水温は相対的に高く感じるようになる。まるでぬるま湯のお風呂のように暖かい。
昨日は、こないだからカイトを始めたS君の5回目の練習日だった。彼とはすでに28年の付き合いになる。私は彼のことを「バスケ好きの英語オタク」で、典型的なインドアタイプの青年らしいと評価していたが、今年の夏になって、「サーフィンにはちょっと興味がある」と呟いた。これを私が聞き逃すわけがない。
いろいろと使い道の多そうなSUPボードは一枚持っておいてもいいな、と考えていたところだった。早速、仕入れた11フィート板で、彼に簡単なパドリングを伝授したら、あっという間に要領を飲み込んで、この夏中、イソイソと三日に一度は海に出かけるようになった。そしてついには「海は大きいな・・・大自然には何でもあるんだねぇ・・・」などと、エマソンやソローのようなことを言い出した。
その間、私の走りを含めて、彼は初めて「カイトサーフィン」という、極めて奥の深いナチュラルスポーツの実際を目にした。これには相当な衝撃を受けたらしい。ついに三週間ほど前、「あれはまた格別に面白そうだなぁ・・・」などとも呟いた。「それじゃ、ちょっと練習用のカイトを振ってみるか?」
微風・灼熱の堀江海岸で数回、カイト操作の基本を伝授した。空中で「安定」が維持できるほど楽なコンディションでもなく、たぶん途中で「もういいわ」ということになるのではないかと思っていたら、大汗をかいてフラフラするような時があっても、自ら止める気配が全くない。これはどうやら本気らしい。私の心底がニッコリ笑った。
昨日は初めて、7m強の地上練習に最適の風に恵まれた。自然の風の力だけで、10㎡のラムエアカイトが簡単に翼形を作り、さして苦労することなく頭上まで上がって、空中でカッチリと安定するのも初めての経験だった。
初めての強風、初めてのエリアでもあり、乱れたブローに当たると吹き飛ばされる恐れもあったから、しっかりと安定姿勢がキープできるレベルまでいけば充分・・・という教習プランで基本練習に入った。
そして・・・彼の動きに私は少々驚いてしまった。もちろん、体中あちこちにムダな力が入っていて、身体もカイトの動きも全体的にぎこちない。これは、どんなスポーツにおいても初心者が通る常道だ。
ところが、間もなく安定も取れるようになったし、暑いので少し海に入って、余裕があればちょっとだけカイトを振ってごらん・・・と指示したら、10分もしないうちに、ボディドラッグを始めた。しかも、ワンハンド操作になってもカイトが落ちない。これは一体どういうことだ?
まあ、今回はよほど調子が良かった、ということにしておくが、ひょっとしたら、彼はこの種のスポーツにかなりの適正があるのかもしれない。海上で風に引っ張り回されるのが、とんでもなく楽しかったらしい。いつまでも止めそうもないボディドラッグを敢て中止して、私はカトチャンが来る別府に移動。かなり南に寄ったガスティウィンドをもって本日お終い。
昨日は、徳島からの帰りに、台風がらみの南東風の匂いがプンプンする唐子浜に寄ってみた。ここはウィンド時代に、やはり台風の風波を求めてちょくちょく訪れたところだ。予想通り、ほぼ真東から7~10m、12㎡でジャストの軽い風が入っていた。
長時間の車運転でかなり疲れていたが、こういう時こそ海や風からエネルギーを頂戴する・・・というのが私の姿勢だ。また、大自然と遊んで疲れを残すようでは、まだまだ修行が足りない・・・ということなのだが、これはあくまで姿勢であって、常の結果ではない。昨日は、この姿勢が正しく結果となって現れてくれたようで、1時間あまりのユッタリした走りで、運転の疲れも徳島キャンプの疲れもほとんど消え去ってくれた。
最近はだいぶ少なくなったように思うけれども、大体において、私は何か好きなことに手を付けると、トコトン行き詰まるところまで突き進んでしまう癖がある。これは好物を食べ過ぎると腹をこわすのと同じで、健康上よろしくないのは明らかなのだが、私のような凡人にはそれがなかなか分からない。
過不足のない、モノゴトのちょうど良いところ・・・つまり「中庸の徳」を自分のものにするには、相当な修行がいるらしい。これを説いた偉大な先人は、古代中国にも古代ギリシャにもいたが、私はある年齢に達するまで、この意味が全く分かっていなかった。そのためにどれほど多くの無理や無駄を残してきたことか・・・やはり、歴史を通して生き残ってきた「智恵」にはそれなりに深い意味があるということだ。
今日は、再び台風の南風を求めて、同じエリアでM君家族と半日を過ごす。しかし、雨が過ぎても、上空南風の本流は地上まで届くことはなく、東北東~東の風が5m程度。19㎡でも少しもの足りない風だった。ただ、昨日の荒れた海面と異なり、細波程度の走りやすいコンディションで、それなりに楽しい走りを味わった。
本日嬉しかったことは、東の空に見事な虹が、数度に渡って現れたということだ。久しぶりの虹見物。 『カモメのジョナサン』のリチャード・バックは初めてパラグライダーで空を飛んだときの感動を、"Under the Rainbow"という記事にしている。『虹の下にて』・・・つまり、パラグライダーの翼形は、「レインボウ・シェイプ=虹形」なので、それにぶら下がりながら空を飛ぶことの喜びを美的に表現したということだ。
そして、ラムエアカイトの翼形はまさにパラグライダーの翼形そのものである。雨上がりの初秋の空に輝く虹をバックに、M君が走りR君が笑っている・・・こんな写真はまず滅多に撮れるものではないだろう。つまり、有り難いことである。
またしても徳島にやって参りました。去年は4~5回で、今年は10回くらいは来てやろう・・・などと目論んではいたのですが、ほんとにそうなりそうな気配であります。
9月もすでに中旬を迎え、そろそろ松山周辺も北寄り冷た目の風に恵まれてもいい時節であります。ところが、いつまでも残暑厳しき上にまともな風が届いてくれません。毎朝の日課、天気図とアメダスの風情報に相談してみると、これがまた、徳島・南寄りの順風がおいでおいでと呼んでおります。
3時を過ぎて小松海岸に到着しました。これがなんと・・・トップブローは15mに達するであろうストームウィンドが南南東から怒涛のように吹き込んでおります。あのね・・・ここまでの親切は要りません・・・これだとまた練習用6㎡の登場になるではありませんか。
この「バイロン」という詩人のような名を持つカイトは「うちの母ちゃんでも難なく使える」などということをのたまう米国人もいるくらい安全性が高いはずなのですが、私に言わせると「15m近い適応風域では、カンバー量も曲率も大きすぎて、まんず使いものにならないじゃないの・・・」ということになるのであります。
しかしまあ仕方がございません。ウィンドの皆さんのオーバー気味の走りを口をくわえて眺めているわけにもいかず、結局、前半はこれとお付き合いしました。ちょっとピッチを下げるとウィングチップに裏風が入って、左右にバッサバッサ振れ回るを忙しく抑えながら・・・。ほとんどなんも面白いことはありません^^;私らしくもないネガティブな感想ですが・・・。
それでも、暗くなりかけて10mほどに落ちてからは12㎡にも出番が回り、ヘッド近いうねり波をゆったりと味わうことができました。めでたしめでたし。晩飯にはローソンのカツどん弁当に濁り酒を付けて、今は~もう秋~・・・スズムシたちの妙なる音《ね》を傍《そば》にしながら、いと静かな夜を過ごしているところであります。
今年は近年に珍しく忙しいお盆になった。11・12日と田舎で過ごした後、13~15日まで、仲間数人と徳島キャンプ。今回は以前からの計画に従い、風に従ったわけではないので、風に恵まれなくてもどういうことはなかったのだが、風は、まあ、無いより有る方が、この季節、涼しくて良いに決まっている。
しかし、13日も14日も最大3m程度。カイトで水上走行するには足りない。そこで活躍してくれたのがSUPだ。小松海岸にいつものナイス・ウェイブは無かったし、サーファーの皆さんの数もずいぶん少なかったけれど、瀬戸内側に比べると格段に波長の長い小波でSUPサーフィンみたいなものをしたり、ただプッカリ浮かんで大空を眺めたり・・・こういう海との付き合い方も大いに良しではないか。
13日の夜は、コック長M君のおかげで、大雨やカミナリの中、まことに楽しいバーベキュー晩餐会になった。徳島のIさんは、両日のグラハン(地上練習)で2m程度の風でもカイト操作を楽むコツを覚えたと思う。
最終15日は、一緒に松山周辺まで移動して、北の端から南の端までの主要エリアを見物し、最終的には塩屋海岸の南風5m前後のガスティ・ウィンドでそれなりの練習ができた。西に落ちる夕陽を眺めながら、私は「ありがたい」と思った。
今回、特に忙しい・・・と感じた理由は、学生時代からの友人I君夫妻を、長崎から私の田舎に急きょ招くことになったからだ。彼とはすでに35年近くの付き合いで、互いに大概のことは、じゅうぶん知っているはずなのに、たまに会うと、私も彼もあっという間にあの二十代の学生時代に戻り、その上に、その後の数十年の人生で起こった多くの出来事が重なる。
したがって、あの頃の話や、この頃の話や、あれこれの話などが始まると、文字通り止まらなくなる。つまり、再会で許された貴重な時間に多くのことを話そうとするから、「忙しい」ということになったわけで、他に理由はない。
今日の暑さは格別だった。たぶん沖縄沖の台風が東から張り出す太平洋高気圧の熱気を巻き込んでいるのだろう。堀江は9時を過ぎた頃から北東順風が入り始め、10時前の時点で事務所の温度は私の頭の限界温度に迫っていた。これはもう、午前中だろうがなんだろうが出かけるしかない。
空は完璧な夏色。北東風6~8mに10m近いブローが混じる。15㎡でも19㎡でも走れる風だ。ゆったり跳べる19を選んだ。インフレカイトの皆さんには、なかなか分かってもらえないのだが、私が使っているラムエアカイトは、とんでもなくオーバーに強いのである・・・というよりも、オーバー気味の方が楽に乗れるのである。
その理由は幾つかあり、私の観察を一つ二つ述べると、まず、①:滑空性能の違い。カイトを滑空翼としてみた場合、ダブル・サーフェイスでアスペクト比が高いラムエア翼は、滑空性能そのものが優れる上に、ピッチ角(正確にはAoA:迎角)を比較的に(インフレと比べて)大きく下げても翼表面の気流が乱れにくい。
水上走行中は、カイトを水面近くまで落とし、板を立てて、水中側面抵抗を有効に利用してもしなくても、なにがしかの揚力によって、なにがしかの重量が失われるので、速度を決定する一大要因である翼面加重が減少する。これが高じて、ボードを抑える縦の力が減衰し、カイトコントロールも含めた水上走行やまともなジャンプなどが困難になった状態を、いわゆるオーバーと呼ぶのだが、ピッチ角(AoA)を大きく下げてもカイトの挙動自体が不安定にならない限り、その許容範囲は広くなる。
次に、②滑空速度の問題・・・これはインフレでも似たようなことが言えるのだが、例えば私の体重70kgでの19㎡のカイト翼の滑空速度は、ピッチトリムを全く使わなくても、恐らく時速50km辺りだろう。これを秒速に換算すると14mの速さになる。つまり、少なくてもジャンプの最中、カイトを中天に位置し、バーを引き込んでAoAを上げない限り、10mやそこらの風では、風下側に飛ばされることはない。逆に風上側へのオーバーシュートを抑えるの注意する必要がある。
その点、インフレ翼の多くは自重の大きさと共に角速度の変化がラムエアより大きいのが普通だ。これがインフレ翼の長所でもあるのだが、オーバー・コンディションでは短所として働く。運動エネルギーは「質量×速度の二乗」で決まり、その運動エネルギーの変化がラムエア翼よりも容易に起こるのだから。
私がこれまで使ったカイトで比較すると、カブリナ・クロスボーの13㎡のインフレ翼で気持ちの良い風域が、だいたい現在使っているラムエア翼の19㎡の適応風域と一致する。私の先入観は、ラムエアはインフレよりもアンダーに強い・・・というものだったのだが、事実は全くの逆であった。やはり、本当のことは、実際に、可能な限り自分で検証してみないと分かること少ない・・・ということだろう。
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