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寛太郎のカイト日誌

内容はカイトに限らず種種雑多です。好みの選択は「カテゴリー」をご利用下さい。日本語訳は全て寛太郎の拙訳。 2010年10月18日設置

   

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なまけもの

今朝はこの冬一番の冷え込みでした。朝の室温が5℃でしたから、私の耐寒温度の半分です。もっとも、今は自作の事務コタツに足を突っ込んで、「なまけもの」状態。

しかし、こういう姿勢をつまらないムダとして排斥(はいせき)してはいけません・・・この世界には「有用(ゆうよう)なムダ」というものがあって、ムダに忙しい日常を過ごしがちの現代人が、本物の森の「ナマケモ」のような生き方に習うことは大きいはずです。

つまりは、「急がない」こと、「ゆっくり」生きること・・・そのために無理な競争をしないこと・・・自分と他人(ひと)を比較しないこと・・・など、およそ明治以降、国策に従って学校で教えられてきた「競争主義」や、特に産業革命以降、彼の国の真面目なピューリタンの皆さんが広めた「勤勉主義」などとは反対の行き方でしょう。

ともあれ、昼ごろには10℃近くまで上がるということなので、あとは風向き次第、堀江になるか塩屋になるか・・・どちらにしても少し体を動かしに出かけるつもりではいます。

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今日も暖かいユッタリとした午後になりました。3mほどの風でいつものように陸トレを楽しんでいたら、一人の紳士とその娘さんらしい人が海岸道路から観察していたらしく、かなり興味を持たれたようで、すぐそばまでやって来てじっと見ている。世間ではこの種のスポーツはまだまだ珍奇(ちんき)なもののようです。

「もうちょっと風があると海でやるんですけどね・・・こう横にするとヨットみたいにセールになって、こう上に上げるとパラグライダーみたいになって・・・」などなど、カイトを上げたままお話ししているうちに、「じゃ、ちょっと触ってみますか・・・?」・・・と、いつもの変な癖が・・・。お二方にはバーの操作だけちょこっと楽しんでもらいましたが、偶然出会った人たちとの、こういう何気ない触れ合い・・・私は好きな方です。(元来あんまり社交的な人間じゃないはずなんですけどね^^;)

今日はもう一つ、私の頭の中を長いあいだ楽しませてくれている一つのプランが、意外な場所で実現することになりました。(田舎のコタツで作った割りばし模型に関係することですが、これについてはまたそのうち書きます)

今日の運動:後半のみ↓
110103s.JPG
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専門用語

昨日までの冷たい西風がウソのような穏やかな正月二日でした。堀江海岸上空にはきれいなクラウドストリート(雲の道)北東から南西へ走っています。110102-1.JPG

3m前後の風で地上練習と地上メタトレを数時間、まったりと・・・それでもGPSの記録を見ると4kmほどは動き回っているので、そこそこの運動にはなったでしょう^^。

暖かい日差しの中で、砂浜を黒板がわりに、ちと理論講習を・・・そもそも「カイト性能の違い」の説明をしたかったのですが、揚力理論からベクトルだの揚抗比だのアスペクト比だの・・・どうしても空の専門用語が出てくるものだから、神妙に聞いてくれたM君にはずいぶん頭の痛い話しだったろうと思います。110102-3.JPG

また気が向いたときに、もうちょっと分かりやすい図など使って、ここにも載せるつもりではいますが・・・・安心なされよ・・・今日聞いたことを全部忘れたとしても、カイトサーフィン楽しむのになんの不都合もありません。110102-2.JPG

7歳のR君はカイトループを見せてくれました^^。→

110102h.JPG

アイデア

強烈な西高東低の気圧配置が続いている。
 
予報天気図を見ると、2日頃から北寄りの風に代わり、少しは暖かくなりそうな気配ではある。
 
現在の私は、大晦日の田舎で コタツに根を生やしているのだが、ここは、もうじき来たる新年、さて何をしてやろうか・・・とのんびりいろいろアイデアを巡らせるには最適の環境かもしれない。trainer.JPG
 
 
その一つを割り箸で形にしてみた。さて、これは何でしょうか? 
 
 
 

凛(りん)と

今夜は夕食時にすばらしい人を見かけました、久しぶりにテレビの中に。所さんのなんとか・・・という番組で登場したダンスの女先生。

宝塚の現役ジェンヌも師事する、その女性の姿勢の凛(りん)としていること!動作の機敏で美しいこと!それが御歳70!・・・どうみても外見は50代、動きは20代・・・どうしてこんなことが可能なのか・・・まったく驚いてしまいました。

もちろん、それなりの健康管理やトレーニングを日々積んでいるのでしょうが、「人間の年齢は過ぎ去った年月ではなく、心の持ち方や生き方で決まる」・・・という或る先人の洞察の現実証明がそこにありました。

人間が他の動物たちと大きく異なることの一つは、同じ歳月を生きても、人によって時に大きく異なった状態になるということです。枯渇した老人のような生き方をしている若者がいる一方、いつまでも前向きな若者のような年寄りがいる。

今年は、もう一人、同様に驚嘆した人物がいました。この方には直接お会いしてお話しすることもできたのですが、彼は御歳90!今治沖の島で現役の漁師をされている方で、新聞などにも何度か登場したことのあるその道の達人です。この方もまたその姿勢の凛(りん)として高貴なこと・・・私は心底感動しました。

こういう方々を見ると、普段ズボラな私にも勇気のシャワーみたいなものが降りてきて、なんだかやる気が沸々と湧いてくる。

これで、来年の目標が幾つか決まりました。とにもかくにも、高齢の方々が、こうして人の生き方の範を示してくれることは、まことに有難いことです^^。

大気密度

今日は、とりかかったら切りがない事務所の大掃除が待っていますが、またしても迫りつつある寒波には逆らえず、昼から海に出る気もしないので、またもや左脳寄りのめんどくさい話しを少し書きます。

めんどくさいといっても、空気のことですから、風を読みながら生きている人間にとっては日常の一部。いや、どんな人々にとっても、あらゆる生物にとっても、生きるにこれ以上大切なものはないにちがいありません。

ところが、星の王子様のキツネ君が言うには、「ほんとうに大切なものは目には見えないもの」らしく、空気やその動きである風自体も、簡単には人の目に見えず、その「大切な」性質を知るには、目以外の何かをも使う必要があるでしょう。

それは、音であったり、匂いであったり、感触であったり、それらが統合された「直感」であったり、それ以外のシックススセンスだったり^^;・・・感覚的なものだけでもいろいろありますが、意外と役に立つのが、こないだも少し触れた理論と実践の「理論」だったりするのです。

大気密度の理解は空気力学の前提みたいなもので、私たちがしばしば口にする、「今日の風は重い、軽い・・・」とかの理論的根拠もだいたいはここに求めることができます。ただ、こういう話しの解説本やWEBサイトは他にいくらでもありますから、ここでは、実際、海の現場で出会いそうな例をあげながら、季節や気象によってどのくらい風の重さが違うか計算してみることにします。

真夏の空気:標準気圧、気温35℃、湿度80%、と真冬の空気:標準気圧、気温10℃、湿度30%で比べてみると・・・途中のめんどくさい数式は省略して・・・真夏は1㎥で1.127kg、真冬は1.269kgで真冬の方が12~13%重いということが分かります。これを「たったの!」と思うか「こんなに!」と思うかは、人それぞれ、その空気の中で「何をするか」によるでしょう。私はしばしば「こんなに!」と感じるのですが・・・。

※ちなみに動力を使う空の世界では、大気密度は飛行翼の揚力、エンジンの燃焼効率、プロペラの推力、この3つに直接影響するので、1.25の3乗で1.95・・・ほぼ2倍という圧倒的な違いになって現れてきます。

更に、海の上を動く空気は地形や海水温や潮流などの影響を受けて、この基本的な重さに感じ方の変化を与えます。わりあい分かりやすいのは、上から下へドンと吹き降ろして来る感じや、下から上へフワッと吹き上げる感じの風。岬近辺を走っている時の収束される風や拡散される風・・・・。IMGP0260s80kb.jpg

※画像:たいぶ前から事務所前の大木に住み着いているジョロウグモ。冷たい西風を避けるようにちゃんと東に向けて巣を張っていますが、最近の寒さと昨日の暴風にはかなり参ったようです。せっかくのお家もズタズタになり、何かにじっと耐えている・・・という風だったので、ちょいと体を撫(な)でてやりました。

秒速15m以上

時速にすると60km近い風で、ラムエアを扱うとどうなるか・・・せっかくの暖かい強風だったので試してみました。101228s-3.jpg

ほぼ3時の方向で立ち上がった瞬間、あっという間に15mほど飛ばされて水際まで・・・以上^^;
※画像:およそ15mを超えると海面は泡立ち始めます。→

たぶんブローで20mのほとんど暴風。板を持ったらまっすぐ歩くことさえ困難でしたから、ラムエア5㎡での限界というよりも、カイトそのものの限界を確認したような気分です。

カモメ君も風上に進むのは大変だったでしょう。→101228s-kamome.jpg

↓車は揺れる。バックドアのバンドは唸(うな)る。雷は鳴る。

価値相対主義

このブログは一応「カイト日誌」となっているので、基本的にこのテーマに沿って進めて行こうと思っていたのですが、カイトの世界も少し掘り下げて眺(なが)め始めると、結局、この世界の森羅万象とつながっているという事実に行き当ります。

実はずいぶん前から別に少し硬めのHPやらブログやらを作っていて、まあそこでもいろんな「思いつき」を書き連ねていただけなのですが、つい最近、数年ぶりに管理ページを覗(のぞ)いてみたら、何年も前に空関係のことで書いた本への問い合わせや注文が幾つか入っていて、かなり慌ててしまう、ということがありました。

本来は届くはずのお知らせメールが管理サーバーで止まっていたという訳で、まったく間の抜けたお詫びメールをさせては頂きましたが、ブログ関係もやはりシンプルにしておくべきだと痛感した次第。

ということで、今後は、思いついたことは「およそ何でも」このブログで済ませようと思います。要は「カテゴリー」で分類しておけばいいだけの話ですから。

たぶん、単なる中年カイトボーダーには似つかわしくもない、ヘンテコリンな記事も出てくると思いますが、めんどくさい話しはポンとスルーして、面白そうな部分だけ拾い読みして頂けるとありがたいかなぁ・・・と思っております。

今回は、「価値相対主義」・・・なんて、こんな日本語がどこにあるんだ~!という感じかもしれませんが、つまりは、「幾つもの好みや考え方があるからこそ、それら(好み考え)が意味を持つ」・・・というようなことで、「何とか原理主義」や「何とか絶対主義」とおよそ正反対の思想です。

これをカイトの世界に当てはめると、「カイト・スタイルの多様性を尊重する」ということになるのですが、どの世界にも偏狭(へんきょう)な頭の持ち主はいるもので、陸上だけでなく空にも海にも、自分のスタイルを唯一最高だと自ら思い込むだけでなく、人様に押し付けようという傾向性が見えることがあります。

この姿勢の淵源(えんげん)は、たぶん人間存在自体の深い部分にあって、簡単には払拭(ふっしょく)しがたい業(ごう)のようなものなのかもしれません。

しかし、この傾向性が肥大化すると、たちの悪い権力指向から、セクショニズム(排他的派閥主義)や集団主義を生み、更には救いがたいナショナリズム(国家主義)へと発展してしまうことは、過去幾多の歴史が証明済みのことですから、時には十分に注意した方が良いでしょう。

私は、この世界は、色々なものの見方や考え方、生き方やスタイルがあるから面白いし、少し仰山(ぎょうさん)に言えば、人間社会の平和や発展生成もあるに違いないと考えています。

しかし、ただ一つ容認できないスタイルがあるとすれば、この種のもので、「いかなる寛容も非寛容にだけは寛容でいられない」という、誰かが言ってそうなフレーズ(早口言葉ではありません^^;)の通りでありましょう。

3時間

しばらく続いた寒波が少し収まったようです。ご近所のじっちゃん宅へ年末の挨拶に、と家を出たら、顔に当たる西風が思いのほか暖かい。この程度の寒さなら水に浸かっても大丈夫だろう・・・とまちがいなく良い風が待っている塩屋海岸へ。

結果・・・こんな季節に3時間、ほとんど休みなしで走ってしまいました。私はやっぱり余程こういうことが好きなようです。やがてやって来たF君もたぶん似たような心持ちでしょう^^。

明日はさらに暖かい南西風が入りそうですが、昼からは雨模様です。さきほどの天気予報では、それでも平年並みの気温とのこと・・・雨さえ降らなければ新人君の初練習になる予定ですが・・・今はなんだかホッとしています。

101227s.JPG

やはり寒かった

昨日はやっぱり相当に寒かったのですが、M君のやる気に誘われて再び塩屋へ。すでに10mほどの寒風の中で、F君が満潮水たまりを楽しんでいました。

私はとても水に浸かる気にならず、M君の練習を見守ることに・・・彼も少しは真冬の海の厳しさを味わったようです。10㎡だとまだオーバー気味、バイオカイトの5㎡で2時間ほど地上練習。今の装備だとこれくらいの時間が限界でしょう。IMGP0244s80kb.jpg

このバイオカイトは使い始めてもう5年以上になりますが、かなり良くできたラムエアで、まだ当分は入門機として活躍してくれそうです^^。ただ、改良したい部分が幾つか会ったので、こないだから手を加えて、海上での本格的な使用にも耐えるようにしました。

この種の道具は、ある程度の経験と知識があれば、メーカー側の都合やセティングにあえて自分を合わせる必要もなく、自分の技術やスタイルに合うようにどんどん改良していくべきだろう・・・と私は思っています。

「どんなに評判が良い人物や事物でも、自分自身で確認するまではまず信用しない(評価を保留する)」・・・というちょっと面倒な姿勢にはそれなりの背景があって、特に空の世界でえらい目にあうことで確かなものになるのですが、20年以上パラの世界にいる人なら誰でも知っている「VT308」事件など・・・興味があれば検索してみてください。ひょっとしたら何か書いている人がいるかもしれません。

今回のビデオはカイト暦1年とはとても思えないF君のディレクショナル・ジャイブの様子です。

吟遊婦人

昨日はちょっと珍しいこともありました。カイトのセットアップをしていると、特に何をするという風でもなく海岸をブラブラと歩いている3人の婦人がいる。この寒い冬空、街着のコートに身を包んでいったい何をしているのだろう?

さっきはウィンドのMさんを囲んでずいぶん長いこと話していた。そうか、この時期はキリスト教に縁の深い時節だから、その関係の福祉活動みたいなことで、とりあえず行き会った人々に声をかけているのかもしれん・・・などと思いながら風待ちしていると、そのうち彼女たちはこちらの中州までやってきました。

「寒いでしょう・・・何をされてるんですか?」・・・こういう状況で初めて会う人には、およそいつもこんな感じで私の方から声をかけることが多いのですが、返ってきた答えは、なんと・・・「吟遊(ぎんゆう)」でした^^;。吟遊詩人の吟遊ですよ!・・・さすがに山頭火や俳句の街を背景に持つ土地柄だなぁ・・・と感心しながら、私もしばらくカイトのお話しをすることに。IMGP0243s80kb.jpg

その姿勢の熱心なこと、カイトや板のつくりやら風の性質やらいろいろ聞いてくるので、私も調子に乗って、「じゃあボード持ってみますか、ブログに載せる写真一枚撮りましょう・・・」などと、と半ば無理やり撮らせていただいた一枚がこれ→。

近年、写真撮影を好むご婦人方はずいぶん増えて、カイト風景は何回か撮られたことがありますが、吟遊婦人に会ったのは初めてです。まことに心温まるひと時でありました。見かけで簡単に人間を判断してはいけません^^;
 

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プロフィール

HN:
寛太郎
性別:
男性
職業:
self-employed
趣味:
風読み・読書・自転車ほか多数
自己紹介:
瀬戸内の小島生まれです。学生時代は国際法を少し。数年間の堅い団体職の後、子供好きが高じて学習塾を、風が好きでスカイスポーツのイントラを、等と趣味と仕事が重なる生活を数十年経験しました。55歳引退計画に従って現在は基本的にフリーですが、相変わらずあれこれ忙しくしています。

生活方針は「無理をしないでゆっくりと」およそ中庸を好みます。東西を問わず古典思想の多くに心惹かれます。まずは価値相対主義を採用し事物の多様性を愛しますが、ミソとクソを同等にはしません。モノゴトには自ずと高低浅深があり、その判断基準は「大自然の摂理と全ての生命(いのち)の幸福」の中にあると思います。敬愛する人物は古今東西少なからず、良寛やB・ラッセルを含みます。

ナチュラリストと呼ばれることを好みますが、人間が創り出した道具類にも大きな関心を持ちます。人間語だけでなく、あらゆる生き物たちの「ことば」に興味が尽きることはありません。60~70年代ポップスや落語を聞いたりすることも好きです。

・著作:『空を飛ぶ・一つの方法』
・訳書:『リリエンタール最後の飛行』
・訳書:『個人と権威』

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