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寛太郎のカイト日誌

内容はカイトに限らず種種雑多です。好みの選択は「カテゴリー」をご利用下さい。日本語訳は全て寛太郎の拙訳。 2010年10月18日設置

   

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稀有なる平和学者

クラウス博士の記事小論の翻訳、『ドイツ人は井の中の蛙であってはならない』がほぼ完了した。この希にして少なる人物については、今後さまざまな機会に書くことになるだろう。ここでは、ただ少しの紹介に留める。

日本との同盟国・ナチスドイツが連合軍に敗北する1年余り前(1944年)にドイツで生まれ、青春時代にインドを放浪し、40歳を過ぎて歴史平和学の研究に進み、日本国の憲法史をテーマとして博士号を取得する。68歳の現在、日本人の妻と娘と共に埼玉県の日高市に住み、日本大学やインターナショナル高校で教鞭をとりながら、歴史平和学者として、時に日本の大臣に意見書簡を送り、時に各国大使に直言する。3e1466b4.jpeg

彼はヨーロッパ戦線の末期に生まれた。私は太平洋戦争終結の9年後の生まれで、10年の歳の差があり、共に戦争体験はないに等しい。しかし、この世界には、体験しないと分からないことと、体験してしまうことで分からなくなることがある。一人の異性を深く愛さなければ愛の素晴らしさは分からない、しかしそれによって、この世界には実に多様な愛のかたちがあるという事実からは遠くなる。愛する一人が世界の全てになるからである。

戦争の最前線の現場では、理性よりも本能的・直感的感覚がものを言うだろう。彼がもし『コンバット』(ヨーロッパ戦線を舞台にしたアメリカ戦争番組)の戦場でサンダース軍曹と戦い、私が父のように連合艦隊の下士官としてスラバヤ沖海戦で英国主導艦隊を撃破していたら、あの戦争の意味を正しく捉えることは不可能に近くなっていただろう。

誰だったか、「人間の行動は深い思慮に基づくべきだが、ひとたび行動を始めたら、考えは停止するべきである(するしかない)」と言った先人がいる。私の経験でもこの言は正しいと思われる。人間は深く静かに思索しながら、同時に、速やかで時に激しい行動をとることはできない。これは、どんなスポーツに携わっている人間にも即座に分かる道理だ。しかも、戦争は殺し合いの世界だから、体験そのものが、体験主体の消滅を意味することもある。

クラウス先生についてちょっと書こうと思い付いたら、また話が長くなりそうな雰囲気だ。こんな時間、この類《たぐい》を書き始めるとまた寝れなくなりそうなので、以下に、幾つかリンクを記して、今夜はこの辺で終わりにする。

なお、翻訳内容は来る広島・長崎の原爆記念日前後、何らかの形で活字になる可能性があるが、ここにも、次のエントリーで全文を記載しておく。興味がある方は一読いただいて、ご意見頂ければありがたいと思う。


リンクー1: 世界から見た今の日本 

リンク-2  ジャパンタイムズでの紹介(翻訳記事)

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プロフィール

HN:
寛太郎
性別:
男性
職業:
self-employed
趣味:
風読み・読書・自転車ほか多数
自己紹介:
瀬戸内の小島生まれです。学生時代は国際法を少し。数年間の堅い団体職の後、子供好きが高じて学習塾を、風が好きでスカイスポーツのイントラを、等と趣味と仕事が重なる生活を数十年経験しました。55歳引退計画に従って現在は基本的にフリーですが、相変わらずあれこれ忙しくしています。

生活方針は「無理をしないでゆっくりと」およそ中庸を好みます。東西を問わず古典思想の多くに心惹かれます。まずは価値相対主義を採用し事物の多様性を愛しますが、ミソとクソを同等にはしません。モノゴトには自ずと高低浅深があり、その判断基準は「大自然の摂理と全ての生命(いのち)の幸福」の中にあると思います。敬愛する人物は古今東西少なからず、良寛やB・ラッセルを含みます。

ナチュラリストと呼ばれることを好みますが、人間が創り出した道具類にも大きな関心を持ちます。人間語だけでなく、あらゆる生き物たちの「ことば」に興味が尽きることはありません。60~70年代ポップスや落語を聞いたりすることも好きです。

・著作:『空を飛ぶ・一つの方法』
・訳書:『リリエンタール最後の飛行』
・訳書:『個人と権威』

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