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寛太郎のカイト日誌

内容はカイトに限らず種種雑多です。好みの選択は「カテゴリー」をご利用下さい。日本語訳は全て寛太郎の拙訳。 2010年10月18日設置

   

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有難迷惑

通常、「有難いこと」と「迷惑なこと」は相反価値なので、両方が同時に成立することはない。しかし、この世界にはいろんな人がいて、様々な人が様々な考え方や立ち位置で関係し合うことから、特に狭い世界では、本来は単純で簡単なものごとが、複雑でめんどくさいものになることがある。「有難迷惑(ありがためいわく)」などもその一つだ。

たいがいの物事は単純で簡単な方が人は幸せだろう・・・と思うので、私の例を少し挙(あ)げることで、有り難いことが増加し、迷惑なことが減少するよう願うことにしよう。

人の例に漏れず私も、今まで生きる過程でずいぶん多くの人のお世話になり、また迷惑もかけて来た。もっとも「お世話になった」と思うのは私で確かなことだが、「迷惑をかけられた」と思うのは私以外の人の領分だから確かではない。

しかし、こと自然の中で単独で行うような趣味に関しては、36年前のスキューバダイビングに始まり、ウィンドサーフィン、パラグライダー、マイクロライト、ディンギー、カヌー・カヤック・・・・・・現在のカイトサーフィンに至るまで、人の助けを必ずしも要しなかったという意味で、お世話になったことはない。そもそもスキューバやパラグライダーはその歴史が始まったばかりで周囲にやっている人がいなかったし、ウィンドサーフィンその他も全て独学独習が当たり前だと考えていたから、最初から自己完結するような付き合い方しかして来なかった。

もちろん、あることを長い間やってると、自ずと同好の知人や友人や後輩ができ、彼らから学び取ることは常にあって、時には複数で自然の恩恵を享受するのも楽しいものだが、大自然の中で一人で行う種類の活動は基本的に「自己完結」するものでないと、その真の醍醐味に触れることはまずできない。これは私にとっては確実な経験則であり、様々な角度から考察を進めることもできそうな気がするが、ここではこれ以上触れない。

正しくは有り難い要素など一つもない話ではあるが、私の「有難迷惑」でまず思い出すのは、ウィンドサーフィンでショートボートの分野が生まれたばかりの頃の堀江海岸・東の浜での出来事だ。板は『ロケット99』という、それまでのサーファー艇などと比べるとずっと短くて格段にスピードが出る作りで、今では当たり前のフットストラップに足を突っ込むとちょっとしたジャンプができるようになった頃のことだ。

実に良い風でひとっ走りして疲れたので中の浜の車で一服した後現場に戻ってみると、浜に置いてあった道具一式が無くなっている。たった30分ほどの時間で・・・これには驚いた。探し回るもなにも障害物など何もない見通しの良い浜であれだけ大きな物体がどうして消えてしまうのか・・・たまたま通りかかった婦人に何か知らないか聞いてみると、彼女は「あそこの人が家に運び込んでましたよ・・・これは私から聞いたとは言わないで下さい」と言って、近在のある家を指差した。

急いでその家を訪ねたら、さっきまで使っていた私の道具が庭にあった。事情を聞けば「誰かが落としたか忘れて帰ったと思って持ち帰ったのだ」と言う。誰がこんなにピカピカでデカイ持ち物を置き忘れるだろうか^^;「ああ、これは典型的な占有離脱物横領(せんゆうりだつぶつおうりょう)だな」と思ったが、とりあえず傷も無く、その人がなにか哀れな気がしてそれ以上追求することはなかった。一つ目の迷惑な話だ。

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プロフィール

HN:
寛太郎
性別:
男性
職業:
self-employed
趣味:
風読み・読書・自転車ほか多数
自己紹介:
瀬戸内の小島生まれです。学生時代は国際法を少し。数年間の堅い団体職の後、子供好きが高じて学習塾を、風が好きでスカイスポーツのイントラを、等と趣味と仕事が重なる生活を数十年経験しました。55歳引退計画に従って現在は基本的にフリーですが、相変わらずあれこれ忙しくしています。

生活方針は「無理をしないでゆっくりと」およそ中庸を好みます。東西を問わず古典思想の多くに心惹かれます。まずは価値相対主義を採用し事物の多様性を愛しますが、ミソとクソを同等にはしません。モノゴトには自ずと高低浅深があり、その判断基準は「大自然の摂理と全ての生命(いのち)の幸福」の中にあると思います。敬愛する人物は古今東西少なからず、良寛やB・ラッセルを含みます。

ナチュラリストと呼ばれることを好みますが、人間が創り出した道具類にも大きな関心を持ちます。人間語だけでなく、あらゆる生き物たちの「ことば」に興味が尽きることはありません。60~70年代ポップスや落語を聞いたりすることも好きです。

・著作:『空を飛ぶ・一つの方法』
・訳書:『リリエンタール最後の飛行』
・訳書:『個人と権威』

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