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寛太郎のカイト日誌

内容はカイトに限らず種種雑多です。好みの選択は「カテゴリー」をご利用下さい。日本語訳は全て寛太郎の拙訳。 2010年10月18日設置

   

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ランド・カイト

予期に反して暖かい堀江海岸だった。15㎡のライン修理を終え、東寄りのガスティ・ウィンドがもうちょっと北に振れて安定したら出ようか・・・とゆっくりしていたら、青空が広がるにつれて程よい風も沖の方まで引いてしまった。IMGP0351s1024pix100kb.jpg

19㎡と12㎡に挟まれてなかなか登場の機会に恵まれない15㎡・・・それでは今日はこいつで少しカイティングをやってみよう・・・上げたり下げたり回したり・・・カイトの特性の一つは、人と翼が20mもの長さのラインで繋がっているということで、基本的に人を中心とする円運動がバリエーションに富んでいる、つまり運動の自由度がきわめて高い・・・ということだろう。

私は地上でカイトを振ることを、メタボ対策トレーニングとして「メタトレ」、パラに習って「グランハン」「地上練習」、字義通りに「カイティング(凧揚げ)」など幾つかの呼び方をしているが、いずれにしても、このカイト特有の自由度の高さは、多くの風読みスポーツの中でも際立っていて、海に出るには風が足りないようなコンディションでもランド・カイトとして充分楽しめるものなのである。IMGP0354s1024pix100kb.jpg
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明日の分まで

今日はちょっと走りすぎたかもしれない。気温は10℃に満たない、冷たい北東風が6~7m、明日からの寒波で雪が降るほど冷え込んだら休みにしよう・・・と、前半15㎡後半19㎡と4時間近く、飛んだり跳ねたりしたら少々疲れた。ウィンドでこんなことしてたら、明くる日は身動きできないくらいの筋肉痛になるところだ。IMGP0349s1024pix100kb.jpg

前半15㎡のおしまいはフロントライン切れ。以前の10㎡に続いて2度目で、今回はハイジャンプからフロントループ・ジャイブに入ろうとしたところで。現在の私の技術ではラインに最も負荷がかかる動きだ。どちらも中古で手に入れたものだから、やはり劣化が進んでいたのだろう。

もっとも、20~30本のラインで重量を支えるパラグライダーの翼などと比べると、カイト翼のラインはたったの4本。細い上に何のコーディングもしていない。これなら時々切れてもなんも不思議ではない。空の世界では飛行機材も含めて「プリフライト・チェック」(飛行前点検)というのをする。時によってはダブル・チェックをして念を入れる。

もちろん、空と海では安全管理の次元が違い、「何らかの危機的状況に陥った場合、道具より身体を大切にする」・・・というのは私の基本姿勢の一つだが、もうすこし丁寧に「走行前点検」にも意を注いだ方が良いのかもしれない。

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北風

寒い一月が過ぎて厳寒の二月に似合わぬ暖かい日々を享受していたら、最近また冷たい北寄りの風が入り始めた。

堀江海岸の北東5kmほどに位置する粟井海岸のアンカレジマリーナに設置された風速計が北~北東で4mを超えると、その風はたいがい数十分遅れで堀江に届き、海で走れるようになることが多いのだが、今日はその沖合いの風がまともに浜まで届くことなく、3m前後の微風でグラハン三昧の数時間・・・まあ、これはこれでまた良し。IMGP0343s1024pix100kb.jpg

昨日出会ったヒドリガモは今日は30羽以上の群れを作り、時に彼らにとってはオーバーヘッドの波乗りをしているように見えた。彼らの目にこの世界はどのように映っているのか・・・一日24時間をどのように使っているのか・・・飛んで、食べて、寝る・・・そして、漂い、遊ぶ・・・まったく自然な時間の過ごし方というのは美しいものだなぁ・・・などと思いながらしばらく眺めていた。

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ヒドリガモ

曇り空ながら昼から堀江へ。海岸横の小さな砂州ではカモがくつろいでいた。雌雄4羽づつ8羽。近所の池でよく見かけるマガモとは色合いが違うので、調べてみると「ヒドリガモ」と言うらしい。なんにしても、見れば見るほど愛らしく美しい。IMGP0342s1024pix100kb.jpg

ついでに、渡り(わたり)についても少し。最近は高性能な発信器を付けた追跡調査で、繁殖地や飛行経路については、かなり正確なことが分かってきたようだ。こんな小さな鳥たちが、持って生まれた身体と能力だけで、毎年何千kmにもわたる長途の旅をしている。

海上を飛行するに昼間はいいとして夜はどうしているのか・・・たぶん近くの島に降りるか波間を漂っているのだろう・・・と思っていたら、南方に帰るツバメなどは飛びながら寝るということもあるらしい。

その方法が、片目づつ閉じて脳の半分を休めながらの飛行だというのだから驚く。目はまだ良いとして、脳が半分休んだら身体の半分はどうなっているのだろう?翼が動き続けていなければ、少なくとも「羽ばたき飛行」は成立しない。h20-fig1miyazaki-ls1024pix100kb.jpg

彼らには、私たち人間には容易に感知できない「空の道」があるのだろう。その道は、ひょっとしたら夜でも安定した上昇風に恵まれているものかもしれない。なるほどやはり、科学的探究が進めば進むほど、さらに自然はその不思議を顕(あら)わにする。

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別府

今日も暖かい。空は春霞のように淡く曇っている。昨日もそうだった。予報によると幾らかの西風が入るはずだが・・・たいした期待もせずに今治発で別府に寄る。
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やっぱり、そこそこの西風が入っていた。いつもの19㎡で10kmほど。風は間もなく南西~南に振れ、注意深く風上の様子を眺めていないと、浜に戻るのが難かしくなる可能性が大きくなった。

走れなくもないが、こんなコンディションで、なんも難儀をする必要はない。F君と二人、コーヒーを飲み、しばらく海を眺めながら風の推移を見て本日は終了。

F君撮影・・・ほとんど上りの走りと、ジャンプ・スイッチ(ジャイブで下りたくない時などに使う・ウィンドのタックの感覚に近い)↓
 

風の道

久しぶりの別府。道中、粟井海岸の西風で30分ほど、風はあっという間に落ちてそのままの格好で別府へ。安定した5~6mの西風、なぜかここだけ吹いている。IMGP0335s1024pix100kb.jpg

風の出口や海峡近くの岬が生む地形風の一種だろう・・・思っていたが、近辺の風データを総合してみるとそれだけでもないらしい。昨日などは、他所は海陸風(かいりくふう)主流の平凡で穏やかなデータしか残ってないのに、この近辺では夜中に3時間ほど10mの西風が入っていた。

現在の科学的・分析的手法だけでは捉えきれない「風の道」は、まだまだあちこちに存在しているような気がする。

サウナスーツ

今日も気温が10度を超え、セミドライでトーング・ジャンプを繰り返していたら袖口から汗が流れ出るほど暑くなった。まったくサウナスーツだ。もちろん手袋などいらない。風は3mほどか・・・少し水にも漬かってみたが走れるコンディションではなかった。IMGP0330s1024pix100kb.jpg

やがてやって来たF君も19㎡でちょっとジャンプの練習をしたり、ラグーンの水面で振ってみたり・・・なんとものどかな午後だ。

風情報を見てみると、別府は今日も6mほどの西が入っていたようだ。これから当分は暖かそうだから、明日は久しぶりにちょっと出かけてみようかなぁ・・・。

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デカ板

身体のどこかで燻(くす)ぶっているような風邪の残余を吹き払っておこうと塩屋海岸へ。実に暖かい^^。グラハンには適当な3mほどの風でセットアップをしていると、西に振れた風が少し上がってきた。沖合いの様子も悪くない。

あんまり使う気がしなかったデカ板の良いところを少しはつかんでおきたいなぁ・・・と4~5mの風で1時間10kmほど走った。幅広・薄めでノーロッカーのこの板は、やはり平水向きで、ちょっと波が立つとスプレー激しくなり、簡単にキャビテーションを起こしたりしてコントロールに難儀する。110202-s-1.JPG

今日くらいのコンディションだとちょうど良い感じで、ちょっとしたジャンプができなくもない。体重だけでロッカー量が変化するから、特に板をスイッチする時は体重移動に気をつけた方が良いなぁ・・・などと思いながら、外海の端から端まで何往復か楽しんだ。

潮の引いた「水たまり」では、今日も多くの水鳥が食餌(しょくじ)を楽しんでいる。ほんのり静かな午後だった。

煙草

煙草の味が戻ってきた。「その日の体調は朝一服のタバコの味で分かる」という愛煙家の通説はどうやら本当のようだ。私の場合、朝食後のパイプ煙草の数呼吸で、自分の体調が本来のものか否かが大体分かる。

健康のバロメーターが、「百害あって一利なし」などと遠い昔デート中の彼女に言わしめ、近頃日増しに風当たりの強い煙草だなんて、なんと逆説的な事実だろう・・・と笑いたくなるが、私はタバコに一利もないとはツユほども思っていない。1152512208.jpg

ある日、マーク・トウェインを読んでいたら、”To cease smoking is the easiest thing I ever did. I ought to know because I've done it a thousand times.” 「タバコを止めるなんてこれまで私がしたことで最も簡単なことだ。そんなこと充分わかってるはずだ、1000回も止めたんだから」・・・という一文に当たって腹を抱えそうになったことがある。

私も過去何度か止めたことがあって、20年ほど前の最後の禁煙は半年間も続いた。しかし、空関係の大会で立山連山に1週間キャンプ生活をすることになった時、雨続きの退屈さに負けて「ちょっとだけ一服^^;」・・・これでもとの木阿弥。同じものに手を出すのはあんまりシャクなものだから、紙巻からパイプに切り替えることにした。紙巻と違ってパイプ煙草には幾つもの「利点」があるので、気が向いた時にまた触れる。

なんでこんなことを書くことになったか・・・この数日の静かな「もの読み」でバートランド・ラッセルに浸っていたら、なんと彼も相当なパイプスモーカーであることを知ったからだ。日本屈指のラッセル研究家である三浦先生のHPで見つけた、これも思わずニンマリしてしまったラッセルのインタビュー動画。70年以上もパイプ煙草を愛し97歳まで活動した彼は、煙草から一利を得るどころか生命を救われているのである^^。この敬愛すべき巨人については、これからここにも時々登場することになるだろう。

鬼の霍乱

霍乱(かくらん)とは、もともと夏バテのことらしいのだが、人間には冬バテというのもあるらしい。

一昨日の喉の痛みから始まって、昨日は朝から体中が痛い。どうやら風邪らしいのだが、こういう症状は記憶にない。熱を計ってみると37.3℃・・・どういうことはない微熱のはずなのに、体を動かす気がぜんぜん起こらない。食事時にマスクを付けたり外したりしながら「これはインフルエンザかもしれんぞぉ・・・」と大きめの声でつぶやいたら、家内はテーブルの反対側まで逃げた。

日中何時間くらい寝ただろうか・・・夕食後に新しいPCへのシステム移行作業にひと頑張りしてから床に就いた。夜中に寝汗をビッショリかいた。着替えるのも億劫なのでそのまま朝まで・・・じつによく寝た。あれだけギクギクと痛かった体のあちこちも、今日はほぼ元にもどって、再び動きたくなってきた。

しかし、さすがに気温5℃にも満たない海に出かける気にもならず、もうしばらくは静かに「もの読み・もの書き」の世界に浸っていることにしよう。

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プロフィール

HN:
寛太郎
性別:
男性
職業:
self-employed
趣味:
風読み・読書・自転車ほか多数
自己紹介:
瀬戸内の小島生まれです。学生時代は国際法を少し。数年間の堅い団体職の後、子供好きが高じて学習塾を、風が好きでスカイスポーツのイントラを、等と趣味と仕事が重なる生活を数十年経験しました。55歳引退計画に従って現在は基本的にフリーですが、相変わらずあれこれ忙しくしています。

生活方針は「無理をしないでゆっくりと」およそ中庸を好みます。東西を問わず古典思想の多くに心惹かれます。まずは価値相対主義を採用し事物の多様性を愛しますが、ミソとクソを同等にはしません。モノゴトには自ずと高低浅深があり、その判断基準は「大自然の摂理と全ての生命(いのち)の幸福」の中にあると思います。敬愛する人物は古今東西少なからず、良寛やB・ラッセルを含みます。

ナチュラリストと呼ばれることを好みますが、人間が創り出した道具類にも大きな関心を持ちます。人間語だけでなく、あらゆる生き物たちの「ことば」に興味が尽きることはありません。60~70年代ポップスや落語を聞いたりすることも好きです。

・著作:『空を飛ぶ・一つの方法』
・訳書:『リリエンタール最後の飛行』
・訳書:『個人と権威』

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