今日は朝から空が暗く、一日を通してしとやかな秋雨が止むことはありませんでした。雨空に無風・・・風読みスポーツにとっては致命的です^^;この一週間、日曜日の練習を心待ちにしていたM君のガッカリは想像に余りあります。
私はというと・・・日曜日に丸一日家に居るなんてことはめったにないことで、これまた幸と、こないだからすっかりはまっている米国TVドラマの“『カイル』・「ファーストシーズンDVD全10回」”の後半部分を数時間かけて堪能しました。「カイル」と「カイト」・・・ユングの言う「共時性」がここにもあるのでしょうか・・・^^;?
待ち遠しかった週末・・・もう30年も前の思い出話しを少し。
私が「風読み」の世界と出会ったのは、ここにもよく出てくる堀江海岸でのウィンドサーフィンでした。東京での長い学生生活を終えて松山でサラリーマン生活を始めた私が強く思ったは、(
こんなに海に近い街で暮らすのだから、何か海のスポーツをやらない理由はないだろう・・・)ということでした。
まず思いついたのはヨット・・・堀江近在には昔からヨットハーバーがあり、海岸ではディンギーが走っています。しかし、私がそこで目撃したのは、白く細長い板のようなボードに小さめのディンギー風セールで快走するウィンドサーファーだったのです。その走りのいかにも爽やだったこと・・・即座に「これしかない!」と直感して、本屋に走りました。「これしかない」とは思ったものの、どうやって始めたら良いか、とりあえず見当が付かなかったからです。
1980年の頃、ハワイ生まれのウィンドサーフィンが日本に上陸したのは70年代の初頭ですから、既に10年近くの先輩方もいたはずで、既存のヨット協会と関係したクラブ(フリート)もあったわけですが、何も知らない私が向かったのは本屋でした。そこにはちゃんと「ウィンドサーフィン入門」があり、1週間ほどかけて、その扱い方や初歩理論(みたいなもの)で頭の中を満たすことが、始まりの始まりになりました。その薄い装丁の入門書のページをワクワクしながらめくったことは言うまでもありません。
そして、サラリーマン生活初のボーナス日・・・6月末を待って、たまたま職場の近くにあったショップで、初期のサーファー艇を注文しました。当時の初任給の倍近い¥198000は決して楽な買い物でなかったことは確かです^^;
数週間後・・・堀江の海に浮かべたボードに乗って、教科書どおりのセールアップから・・・その日は北風微風だったということもあって、これが意外と簡単に立ち上がり、セールをわずかに引き込むと足元のボードがゆっくりと動き始めました・・・「おお~!」・・・あの時のあの震えるような感動を生涯忘れることはないでしょう。
この時点から私の「風読み生活」の全てが始まりました。私の仕事は典型的な事務職で、月に一回ほどの出張日を除いては、8:30からキッカリ17:00まで、椅子に座りっぱなしで電卓をたたきながら書類作成に明け暮れる日々でしたが、時おり、広い事務所の窓を通して街路樹が風に揺れるのを見たりすると、心が騒いで仕方がありません。当時はまだ週休一日半の時代ですから、土曜日の仕事終わりがどれだけ待ち遠しかったことか・・・。
そして・・・一年足らずで、アビーム走行からクローズドホールド、ラニンング、タックにジャイブ・・・およその基本が身に付いた頃には、夕方5時の終業時間が来るやいなや事務所を飛び出して家に帰り、堀江まで一直線・・・という生活スタイルになっていました。もう日も暮れかかった時間ですから、日中の風がそう残っているわけがないのですが、それでも夏場は2時間ほど海に浮かんでいることができます。時には台風の日もあり、冬場は大西(風)の残余を楽しむこともできます。
こうして、3年もたつと、もう完全にウィンド・ドランカーとでも呼ぶしかないような状態になっていたと思います。頭に懐中電灯を付けて暗闇の海上で風を追っかけていたのもこの頃です。
今回ここまで・・・失われた「記憶」を鍵に進行する「カイル」の残像に刺激されてちょっと書いてみました。しかし、私ははまだ追憶の連鎖に浸り続けるほど老いてはいないようです。
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