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寛太郎のカイト日誌

内容はカイトに限らず種種雑多です。好みの選択は「カテゴリー」をご利用下さい。日本語訳は全て寛太郎の拙訳。 2010年10月18日設置

   

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理論のはじめに

いつものように用語(言葉)の意味(定義)から始める。小学館の国語大辞典には、理論とは「ある物事に関して、原理・法則をよりどころとして筋道を立てて考えた認識の体系。また、実践に対応する純粋な論理的知識」とある。分かりやすい定義だ。特に「実践に対応する・・・」は大切だと思う。

私たちが生き行動する現実の世界や自然界は常に具体的なものだが、人間の頭はややもすると具体を離れて抽象に走る。実践を伴わない抽象的理論をいわゆる「空理空論」と呼び、それはそれで楽しい人間的営みかもしれないけれども、私はあまり好まない。

カイトサーフィンの実践(現実)は、水面を風よりも速く滑走し、時に波に乗り、時にジャンプし空中を滑空する。それに対応して板(ボード)や身体を動かすことで、様々な運動形態が生まれる。その多様性は、同じように風の力を利用する帆走スポーツや航空スポーツと比べて驚くほど豊かなもので、この多様性や自由度の大きさが、このスポーツ特有の醍醐味だと言って良いだろう。

さて、「カイトサーフィンはなぜ走るか」について・・・その手の入門書は巷間(こうかん)に数多いだろうし、WEB上にも丁寧なサイトがある。同じようなことをダラダラ書くのも退屈なことなので、まずは、ウィキペディアの該当項目をリンクする。 

ここではカイトサーフィンの概要や変遷、基本構造、流体力学上の揚力などについて詳しく解説してあるが、この著者は相当に謙虚な人と見えて、カイトサーフィンに働く力学はウィンドサーフィンなどでは使える従来の縦帆理論や揚力を中心とする航空理論では充分でないだけでなく当てはまらないことが多いとしている。

この姿勢は正しいと思う。彼はその例として角速度の問題や板の水中側面抵抗を挙げる。更に付け足すと、カイトサーフィンに働く力として無視できないものに、20m以上にも及ぶサスペンションラインの張力があり、一部のラムエア翼のように迎角(むかえかく・アタックアングルとかAoAとも言う。よく使う“ピッチ角”を正しく表現したもの。違いは後ほど説明)の変化が翼の曲率と連動して翼面積(投影面積)が変化するようなものもある。

これら考えられる全ての要素を同時に関係付けながら、カイトサーフィンの走行理論を組み立てることは実際上不可能だろう。ところが、こんなことをまったく知らなくても、着実に練習を重ねていけば、必ず、風よりも速く水上を走り、数メートルを超える高度をジャンプし滑空できるようになる。これが、「身体はやがて全てを理解する」ということである。
 
ピッチ角とは翼弦線と水平線の成す角度。迎角とは翼弦線と進行風の成す角度。翼弦線とはリーディングエッジの先端とトレーリングエッジの先端を結んだ直線。めんどくさい話だが、図で見れば一目で分かるので、近いうちに下手な絵を描いてUPする。↓(ウィキペディアの画像に手を加えた)

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プロフィール

HN:
寛太郎
性別:
男性
職業:
self-employed
趣味:
風読み・読書・自転車ほか多数
自己紹介:
瀬戸内の小島生まれです。学生時代は国際法を少し。数年間の堅い団体職の後、子供好きが高じて学習塾を、風が好きでスカイスポーツのイントラを、等と趣味と仕事が重なる生活を数十年経験しました。55歳引退計画に従って現在は基本的にフリーですが、相変わらずあれこれ忙しくしています。

生活方針は「無理をしないでゆっくりと」およそ中庸を好みます。東西を問わず古典思想の多くに心惹かれます。まずは価値相対主義を採用し事物の多様性を愛しますが、ミソとクソを同等にはしません。モノゴトには自ずと高低浅深があり、その判断基準は「大自然の摂理と全ての生命(いのち)の幸福」の中にあると思います。敬愛する人物は古今東西少なからず、良寛やB・ラッセルを含みます。

ナチュラリストと呼ばれることを好みますが、人間が創り出した道具類にも大きな関心を持ちます。人間語だけでなく、あらゆる生き物たちの「ことば」に興味が尽きることはありません。60~70年代ポップスや落語を聞いたりすることも好きです。

・著作:『空を飛ぶ・一つの方法』
・訳書:『リリエンタール最後の飛行』
・訳書:『個人と権威』

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