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寛太郎のカイト日誌

内容はカイトに限らず種種雑多です。好みの選択は「カテゴリー」をご利用下さい。日本語訳は全て寛太郎の拙訳。 2010年10月18日設置

   

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米国日本大使への書簡

民主主義とは政府内部で権力を排除することではなく、共同体全体の権威を基にした法との協調によってのみ、権力の使用が許されることである。世界的な民主主義における権力とは、世界的共同体によって権威付けられることによって許される限りにおいて、使用され得るものである。
-クウィンシー・ライト『過渡期における政治的状況』

アメリカ合衆国・日本大使への書簡  2012年7月14日付

拝啓、H・E・ジョン・V・ルース大使 閣下

昨年の九月の貴殿への書簡の中で、私は国際連合憲章が想定した「過渡期」に踏み出す必要性について示唆しました。私はまた、五常任理事国が。そのプロセスを開始することがほとんどできなくても、ヨーロッパ各国は強力な立場にある、という私の信念についても述べさせて頂きました。

先日、東京において、私はドイツ国・日本大使のフォルカー・スタンツェル博士と、「過渡期における安全保障の合意事項」について会談しました。続いて、彼に宛てた書簡(同封)の中で、アメリカ合衆国とドイツ国とが来《きた》る「広島の日」に、旧ドイツ国によって引き起こされた先の戦争全体への謝罪と、戦争終結の手段として実行された原爆投下に至る経緯の概要などを含めた「共同宣言」を発表することを提言しました。私はすでにインドの日刊紙・ステイツマン紙上に同趣旨の小論を寄せています。

これまでにこのような提案が成されたことがあったかどうか、私は知りません。しかし、かつて、アメリカの指導者たちの心の中には、戦争が全面的に廃絶されるべきものであること、その目的のためにこそ原爆の使用が手段化されたのである、という考え方があったように私には思えてなりません。これに関連して、当時の合衆国大統領、ハリー・トルーマンは軍隊に向けた彼の対日戦勝演説の放送の中でこう述べています。「我々は地球上から戦争を廃絶しなければならない。地球が我々が知っている形で存続するのであれば。」
(同様の意図を合衆国が持っていたことの証拠は、アイゼンハワー大統領のスピーチの幾つかにも、1961年のマクロイ-ゾーリン合意の中にも現れています。)

私は、原子爆弾がもしもドイツに落とされていたら、この戦争廃絶という目標は達成されていたに違いないと確信しています。しかし、日本への原爆投下について同様のことを言うことはできません。恐らく、原爆を落とされたという事実は、その後日本が、自らの憲法の中で、戦争廃絶に向けての課題を扱うための視座に力を貸すことになったのでしょう。

先の書簡で述べさせて頂いたように、私は、この点に関して、両国がその歴史的に明白である、「特別な責任」を負うことによって、また、集団安全保障システムを目的とし、法的に「安全保障上の主権委譲」を定めた1949年憲法の趣旨によっても、ドイツ国がその移行過程への導因になると信じています。
(この“安全保障上の主権委譲”という言葉は、私が信書を交換しているジャン・ティンベルゲン教授が、国連安全保障理事会に向けて使った用語です)

私はまた、かつて植民地主義を採っていたフランスやイギリスが、インドのような偉大な国の代理役となるかもしれないことを提案させて頂きました。インドは、国連憲章の27条2項による「手続き条項」に従い、各国の合意さえあれば、当然、安全保障理事会の常任国の候補になってしかるべき国であります。

この目標達成への道のりは遠いものになるでしょうが、今はまさに、その過渡期に踏み出す時であり、ドイツと米国が共同声明を発表する時であります。

この件について、貴殿が米国政府に働きかける機会を見出して頂ければ、私の喜びこれに優るものはありません。

敬具

自由・独立的、活動家かつ研究家: 歴史平和学者、クラウス・シルヒトマン

日本語訳: 渡 辺 寛 爾
 

同封:
・駐日ドイツ大使、フォルカー・スタンツェル博士宛ての書簡
・日刊紙ステイツマンへの寄稿記事
・クインシー・ライト著『過渡期における政治的状況(1942年)』
・IPRA(International Peace Research Association:国際平和研究協会)での私の講義(抜粋)

○カーボンコピー送付:駐日ドイツ大使、五常任理事国大使館、インド大使ほか

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プロフィール

HN:
寛太郎
性別:
男性
職業:
self-employed
趣味:
風読み・読書・自転車ほか多数
自己紹介:
瀬戸内の小島生まれです。学生時代は国際法を少し。数年間の堅い団体職の後、子供好きが高じて学習塾を、風が好きでスカイスポーツのイントラを、等と趣味と仕事が重なる生活を数十年経験しました。55歳引退計画に従って現在は基本的にフリーですが、相変わらずあれこれ忙しくしています。

生活方針は「無理をしないでゆっくりと」およそ中庸を好みます。東西を問わず古典思想の多くに心惹かれます。まずは価値相対主義を採用し事物の多様性を愛しますが、ミソとクソを同等にはしません。モノゴトには自ずと高低浅深があり、その判断基準は「大自然の摂理と全ての生命(いのち)の幸福」の中にあると思います。敬愛する人物は古今東西少なからず、良寛やB・ラッセルを含みます。

ナチュラリストと呼ばれることを好みますが、人間が創り出した道具類にも大きな関心を持ちます。人間語だけでなく、あらゆる生き物たちの「ことば」に興味が尽きることはありません。60~70年代ポップスや落語を聞いたりすることも好きです。

・著作:『空を飛ぶ・一つの方法』
・訳書:『リリエンタール最後の飛行』
・訳書:『個人と権威』

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