忍者ブログ

寛太郎のカイト日誌

内容はカイトに限らず種種雑多です。好みの選択は「カテゴリー」をご利用下さい。日本語訳は全て寛太郎の拙訳。 2010年10月18日設置

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

台風ライド

台風12号がもうそこまで来ていた。朝から雨。M君は早朝から一人で頑張っている。昼前に歯の治療を済ませて、堀江へ直行する。強風域に入るまでにまだ少し間がある。到着したらちょうどF君も出てきた。「風がどうにもならなくなるまでに早いとこ走っておこう」・・・と、1時間ほど。台風・雨風のみが持つ、そう優しくもないコンディションとお付き合いすることにする。
h-1.JPG
GPSの数値が30km辺りを超えると、顔に当たる痛い雨粒が目にも飛び込み視界も悪くなる。前にも書いたが、雨中カイトはほとんど苦行僧の世界だ。それでも海に出るのは、やはりこの種のスポーツが持つ特殊な魅力のためで、こんな雨天の叩きつけるような風も、晴天時の快い順風も、どこまでも壮大な大自然が現す変化相の一面にほかならない。

ここで少し、空力(空気力学)的な風の力を復習しておこう。かなり味気ない定義によると、風とは「空気の運動」ということだ。いろんな意味で不思議なこの混合気体が持つ性質の全てに触れることはできないので、カイトなどの翼に最も大きく影響する空気(大気)密度について言えば、これは、「大気圧」と「温度」と「湿度」の3要素によって確実に決定する。これは物理法則だから、人の好みに関係せず、いくらか面倒くさい数式にこれらの変数を代入すると、正確な値として目の前に出てくる。

その空気の中に、時に野の花や磯の匂いや、場合によっては美女の香水や醜男(ぶおとこ)の加齢香などが含まれると、限りなく多様な彩(いろどり)を持つに至るのだが・・・それはともかく、気圧が高く、温度が低く、湿度が低いと重い空気になり、逆に気圧が低く、温度が上がり、湿度が上がると軽い空気になる。これがそのまま、風が生み出す力の大元(おおもと)の要因となる。身近な具体例は以前この辺りでちょっと触れたことがある

そして、この風が何かのモノに当たって生まれる作用力は、そのモノの(垂直)面積に比例し、風速に2乗比例する。カイトにも、あらゆるタイプの飛行翼と同様、揚力という大小の力が発生するが、面積比例・風速2乗比例の法則は変わらない。

だから・・・風の変化を決して甘く見てはいけない。5m/秒の風が10m/秒になれば2倍ではなく4倍の力に変わる。これに単純にカイト面積の変更で対処しようとすれば、例えば16㎡を4㎡に落としてちょうど良いということになる。

さいわい、現在のまともなカイトには、トリム(ピッチコントロール)という便利な装置が付いているので、一枚のカイトで相当の適応風域をカバーできるけれども、トリムが働かない失速などの状態で、その変化をまともに受けると、この2乗比例の法則通りの結果が待っている。特にガスティな状況下では2倍程度の風速の変化は日常の範囲だ。多くの初心者(だけではない)が、陸上でカイトの上げ下ろしの際に遭遇する危険性の主な理由やここに有りということだろう。

2時前になって強風域に入ったらしく、雨は更に激しく、風は優に10mを超えはじめた。またしても、ずぶ濡れにしてしまったカイトを明日の西風で乾かせることを期待しながら、本日これまで。

110902h-t.JPG
 
PR

COMMENT

NAME
TITLE
MAIL(非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS(コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます

TRACKBACK

Trackback URL:

LINK

ブログ内検索

カレンダー

12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

最新記事

ハンディムーン

エリアマップ

最古記事

プロフィール

HN:
寛太郎
性別:
男性
職業:
self-employed
趣味:
風読み・読書・自転車ほか多数
自己紹介:
瀬戸内の小島生まれです。学生時代は国際法を少し。数年間の堅い団体職の後、子供好きが高じて学習塾を、風が好きでスカイスポーツのイントラを、等と趣味と仕事が重なる生活を数十年経験しました。55歳引退計画に従って現在は基本的にフリーですが、相変わらずあれこれ忙しくしています。

生活方針は「無理をしないでゆっくりと」およそ中庸を好みます。東西を問わず古典思想の多くに心惹かれます。まずは価値相対主義を採用し事物の多様性を愛しますが、ミソとクソを同等にはしません。モノゴトには自ずと高低浅深があり、その判断基準は「大自然の摂理と全ての生命(いのち)の幸福」の中にあると思います。敬愛する人物は古今東西少なからず、良寛やB・ラッセルを含みます。

ナチュラリストと呼ばれることを好みますが、人間が創り出した道具類にも大きな関心を持ちます。人間語だけでなく、あらゆる生き物たちの「ことば」に興味が尽きることはありません。60~70年代ポップスや落語を聞いたりすることも好きです。

・著作:『空を飛ぶ・一つの方法』
・訳書:『リリエンタール最後の飛行』
・訳書:『個人と権威』

最新トラックバック

カウンター

最新コメント

[06/10 寛太郎]
[06/10 寛太郎]
[06/10 柴田幸治]
[06/10 小林博行]
[03/26 寛太郎]

バーコード

P R

Copyright ©  -- 寛太郎のカイト日誌 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]