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寛太郎のカイト日誌

内容はカイトに限らず種種雑多です。好みの選択は「カテゴリー」をご利用下さい。日本語訳は全て寛太郎の拙訳。 2010年10月18日設置

   

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北風順風

今日は良く吹いた。完全にオンショアだが比較的安定した北風で50kmほど走った。はるか沖で淡々とディレクショナル・スタイルを楽しんでいるF君はもっと走っている。M君も久々に風に吹かれて幾らかはリフレッシュしただろう。今週は仕事の徹夜続きで大変だったにちがいない、彼には珍しく2時間ほどで切り上げた。懸命な判断だと思う。IMGP0358s1024pix100kb.jpg

陸・海・空を問わず、道具を使って行う全ての活動において、自己管理(人)は機材(道具)や環境と並び、安全管理の要素の中でも最も大切なものだ。しかし、自分の身体や心はあまりに身近で見えにくいという面もあり、ややもすると無理を強いてしまうことがある。

「人」と「機材」と「環境」・・・空の世界で私はこれを「飛行のための三要素」と呼んで教習活動や自分の飛行形態を決める際には必ずチェックすることにしていた。そもそも、この三つの要素の一つでも欠ければどんなフライトも成立しない。飛行機材や飛行環境はもちろんのこと、優れたインストラクターは教習生のその日のコンディションをかなり正確に見抜く目を持っている。

余談だが、「パイロット一年目の危機」というのがある。団体によって多少の違いはあるが、スカイスポーツの教習課程は幾つかの段階を踏みながら技能の向上を図ることになっていて、イントラの指導や誘導を必要としない「一人前」の飛行家=パイロットになるには早い人でも1年近くかかる。飛行経歴に加えて実技や学科試験もあるから、初心者にとって「パイロット」という資格は、最大の目標であり憧れでもある。

ところが、教習中は事故と無縁の初心者パイロットが、たいがいは一年以内に相当な割合で大小の事故を起こすという事実があった。それは教習活動の宿命とも負の側面ともいうべきもので、痛い目にあった初心者パイロットの多くはそのとき初めて、何かと不自由な教習中は、経験豊かなイントラのきめ細かい観察や胃の痛くなるような指導を存分に享受していたのだ・・・ということに気が付く。

もう一度言うが、これはこの種の教習活動の宿命とも負の側面とも言うべきものだ。逆に言うと教習活動がなければこういうことは起こらない。私の知る限りでは、優れたインストラクターの多くは自ら試行錯誤を重ねながらその草創期を生き延びてきている。つまり、誰かの教習を受けて自己の技能を築き上げたのではない。興味深い逆説ではないだろうか。

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プロフィール

HN:
寛太郎
性別:
男性
職業:
self-employed
趣味:
風読み・読書・自転車ほか多数
自己紹介:
瀬戸内の小島生まれです。学生時代は国際法を少し。数年間の堅い団体職の後、子供好きが高じて学習塾を、風が好きでスカイスポーツのイントラを、等と趣味と仕事が重なる生活を数十年経験しました。55歳引退計画に従って現在は基本的にフリーですが、相変わらずあれこれ忙しくしています。

生活方針は「無理をしないでゆっくりと」およそ中庸を好みます。東西を問わず古典思想の多くに心惹かれます。まずは価値相対主義を採用し事物の多様性を愛しますが、ミソとクソを同等にはしません。モノゴトには自ずと高低浅深があり、その判断基準は「大自然の摂理と全ての生命(いのち)の幸福」の中にあると思います。敬愛する人物は古今東西少なからず、良寛やB・ラッセルを含みます。

ナチュラリストと呼ばれることを好みますが、人間が創り出した道具類にも大きな関心を持ちます。人間語だけでなく、あらゆる生き物たちの「ことば」に興味が尽きることはありません。60~70年代ポップスや落語を聞いたりすることも好きです。

・著作:『空を飛ぶ・一つの方法』
・訳書:『リリエンタール最後の飛行』
・訳書:『個人と権威』

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