日本でも有数の保守王国と言われるこの愛媛県に、どうしてこれほどリベラルな匂いのする愛媛新聞が普及しているのか、不思議な気もする。我が家の皆も、ずいぶん長い年月この新聞を眺めているが、中でも随論に類するコーナーには、加藤周一や山折哲夫や養老猛・・・など、時に驚くほど意外な人物が登場して、私を大いに喜ばせる。
今回は
入江昭先生だ。少しでも国際問題に興味を持つ者で彼の名前を知らない人はいないだろう。私もリベラルな国際学者として名前くらいは覚えていたが、未だに彼の著作をまともに読んだことはない。しかし、今日の「論壇」の2000字ほどの小論を読んでいると、その見識の広さと深さは充分に推して知ることができ、読後感を圧縮すると、「やはりそうか^^!」という感慨の一言だ。
彼は冒頭、バートランド・ラッセルの文明観を提示しながら「国家」の非文明性を論じ、間に少し国連など国際機関の使命を挟んでから、今後の国際社会における文化的文明論に触れ、「太平洋文明」に期待を寄せて論を閉じている。
私がこの小論に共鳴する理由の一つは、たまたま現在、私も
ラッセルの著作の幾つかを再読・熟読している最中であるということもある。そして、文明史と呼ばれることの多い人類の歴史が、小さく閉じた世界から、より広大で開かれた世界に向かって着実に進行していることも、否定しようのない事実だからである。
ちなみにラッセルは、
"Do not fear to be eccentric in opinion, for every opinion now accepted was once eccentric.”
「風変わりな意見を持つことを恐れるな。現在受け入れられている意見の全ては、かつて風変わりだったのだから」・・・とか
"Men are born ignorant, not stupid. They are made stupid by education.”
「人は無知に生まれるが、愚かに生まれるわけではない。人を愚かにするのは教育である」
とか言ったりする人物である。(全て寛太郎の拙訳)
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