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寛太郎のカイト日誌

内容はカイトに限らず種種雑多です。好みの選択は「カテゴリー」をご利用下さい。日本語訳は全て寛太郎の拙訳。 2010年10月18日設置

   

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ポンポンの夢

昨夜は蒸し暑かった。いつもの川べりに車を停めて、川面で揺れる市内の灯りや、夜半過ぎに東の雲間から現れたおぼろ月を眺めながら、様々な想いの漂うままにボンヤリと過ごした。ゆるい北風に乗って流れてくる畑の肥やしの臭いに、懐かしさや鬱陶《うっとう》しさを感じたりしながら・・・。

昨夕は、対岸のどこかで間欠的にポンポンと乾いた音が響いていた。たぶん花火師か誰かが、こんな時期から阿波踊りの祭りの準備でもしているんだろうな・・・などと思っていたら、今朝の夜明け前にはポンポンが三倍くらいに増えている。そうか!・・・昔、島の田舎の田んぼでもよく使われていた、あのカーバイトガスを使ったスズメ脅しだ。私が小学校時代にした悪戯《わるさ》の一つが、T字型円筒の下部に設置された、強烈な臭いを放つ固形のカーバイトを、仲間と少々盗んで花火にするということだった。

まず間違いなくこの音が引き金になったのだろう。明け方近く鮮明な夢を見た。父が関係する夢だ。彼は、戦争中、重巡洋艦の「那智」や「妙高」で高射砲を担当し、終戦時には佐世保沖・高島の高射砲陣地の指揮をしていた。そして、突っ込んでくる敵機の爆撃や機銃掃射との真剣勝負の現場がどれほど凄まじいことになるか・・・などについて、彼なりの脚色とユーモアを交えながら、幼い私に繰り返し話していた。

男の子はたいてい父親の武勇談を好む。しかし、その戦争の現場が、単に面白おかしい武勇の舞台だけではなかったことも、彼の横腹から背中に抜けた貫通銃創の傷跡が生々しく語っていた。

今朝の夢の内容は、およそいつものごとく支離滅裂。なんでか私が父に成り代わっていて、舞台は南方マリアナ沖ではなく、終戦後の混乱期に、来島海峡を挟む二漁協の間に起こった漁場を巡る争いの戦場だった。

そこで高射砲が使われるわけがないのだが、私は、自分が守る小さな漁村に、対岸に存在する大漁協の連中が数百人乗り込み、攻め込んできた二隻の鉄鋼船目がけて、高射砲みたいなものをドンパチ打ちまくっていた。

この小さな一地方の、愚かにも激しかった漁業紛争についても、子供の頃によく聞いたことがある。当時は全国的な話題にもなったらしい。身近で起こった歴史的小話としては、それなりに面白いと思うので、またどこかで書くことがあるかもしれない。

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プロフィール

HN:
寛太郎
性別:
男性
職業:
self-employed
趣味:
風読み・読書・自転車ほか多数
自己紹介:
瀬戸内の小島生まれです。学生時代は国際法を少し。数年間の堅い団体職の後、子供好きが高じて学習塾を、風が好きでスカイスポーツのイントラを、等と趣味と仕事が重なる生活を数十年経験しました。55歳引退計画に従って現在は基本的にフリーですが、相変わらずあれこれ忙しくしています。

生活方針は「無理をしないでゆっくりと」およそ中庸を好みます。東西を問わず古典思想の多くに心惹かれます。まずは価値相対主義を採用し事物の多様性を愛しますが、ミソとクソを同等にはしません。モノゴトには自ずと高低浅深があり、その判断基準は「大自然の摂理と全ての生命(いのち)の幸福」の中にあると思います。敬愛する人物は古今東西少なからず、良寛やB・ラッセルを含みます。

ナチュラリストと呼ばれることを好みますが、人間が創り出した道具類にも大きな関心を持ちます。人間語だけでなく、あらゆる生き物たちの「ことば」に興味が尽きることはありません。60~70年代ポップスや落語を聞いたりすることも好きです。

・著作:『空を飛ぶ・一つの方法』
・訳書:『リリエンタール最後の飛行』
・訳書:『個人と権威』

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