海岸線には事欠かないこの地方でも、風の本流が南になると楽しく走れる場所は限られてくる。この粟井海岸などはその一つで、正確な潮読みは必須だが、松山平野で一度持ち上がった風が海面を這うように吹き抜け、順潮は複雑な波を生むと同時に、オフショア気味になる岸よりの海面にはフラットな部分も出来る。
この浜は昔から、たいがい人影まばらで砂浜も美しい。砂浜・・というよりも砂粒が・・・と言った方が良いかもしれない。私のカイト・ランチには海岸の砂が欠かせない。毎回、何kgかの砂をウィングチップに乗せて重りにするわけだが、その際にその砂粒が風に舞って、その浜独特の匂いを感じることがある。美しい砂浜は無臭か、ほのかな磯の香り。しかし浜によってはトブ水のような異臭がしてムッとする場合もある。
日本の生産活動がまだ控えめだった1960年代までは、あらゆる砂浜は自然に近い美しさを保っていた。70年代になって多量のゴミが漂着するようになっても、まだ砂浜自体が異臭を放つほど汚染されてはいなかった。80年代後半になってやっと、エコロジーや自然保護運動の普及と共に海岸のゴミは少なくなって来たように思うが、それでも尚、目を覆いたくなるほど痛めつけられた浜が数多くある。
ことの本質・・・つまり自然界における
人間中心主義、ものを際限なく消費し金を得て善しとする
商業主義などを改めない限り、海岸のみならずマザーネイチャー(母なる大自然)は荒廃の一途をたどることになるだろう。そして、本来大自然の小さな一部である人間という生き物の心身も、歩みを同じくして更に荒廃するだろう。よほど注意深く
事実を見極める力を持たない限り・・・。
PR
COMMENT