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寛太郎のカイト日誌

内容はカイトに限らず種種雑多です。好みの選択は「カテゴリー」をご利用下さい。日本語訳は全て寛太郎の拙訳。 2010年10月18日設置

   

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再び徳島 2

この嘴(くちばし)だけ黄色く目立つ鵜君は、もう一つ見事な技を見せてくれた。螺旋(スパイラル)を描くランディング・アプローチである。

人間の世界では、どんな大型のジェット旅客機も小型のプロペラ機も、各種のマイクロライト機でも、さらに無動力のグライダーやパラグライダーでさえも、着陸の最後のアプローチ(ファイナル・アプローチ)は直線で行う。

アクロバット飛行を好むパラグライダーのパイロットが、たまにスパイラル・ダイブで地面スレスレまで急速に降下して、接地寸前に横向きの揚力を縦に戻しながら無事着陸することはある。これにはかなりの危険が伴い、当然、極めて高度な技量を必要とする。私にはとてもあんな器用なことはできない。しかし、それとても、大きなバネを縦にしたようなマヌーバ(軌跡)で、正確にはネジ状の螺旋スパイラルではない。

ところが多くの鳥たちにとって、スパイラル・アプローチは当たり前の日常的技術だ。今回の鵜君は高度三十メートル辺りから右に旋回をはじめ、正確に旋回半径を縮小しながら五旋回ほどした後、彼が目星を付けておいた水面の或る一点に、ほとんど音もなく着水した。

自然に生きるものたちが、滅多なことでは、まず無理や無駄というものをしないことを、私はよく知っている。彼(彼女かもしれない)が、もっと単純な直線アプローチを採らなかった理由は、朝食の餌に供する小魚の様子を上空から正確に伺《うかが》い、もっとも効率的に必要量の食餌を済ませること・・・そして、それが彼にとって大きな喜びであっただろう・・・ということである。

動物や植物は人間のような言葉は使わない。しかし、それぞれの表現手段を持っていることに疑いの余地はない。ドリトル先生がオームのポリネシアに動物語を習い始めるとき、ポリネシアがまず教えたのが、「彼らは身体の動き全体を言葉にする」ということだった。

私も多くの人のように、少なくとも犬や猫やイルカが、身体だけでなく、その鳴き方や顔の表情で幾つかの感情や意思を現すことを知っているが、それ以外の動物たちも仲間内では、恐らく相当に明白な顔面表現も使っているのではないか・・・と想像している。

人間と他の動物たちの間に本質的な違いはなく、大きく見れば似たような身体器官を持ち、似たようなものを食べ、生きて死ぬことは同じである・・・という事実を、あのB・ラッセルも、かなり厳しかったはずのアメリカ生活時代に、『動物が喋れたら』と題する、彼らしい随想の中で述べている。

興味がある方は以下のリンクからお読み頂きたい。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/russell/ANIMALS.HTM

 

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プロフィール

HN:
寛太郎
性別:
男性
職業:
self-employed
趣味:
風読み・読書・自転車ほか多数
自己紹介:
瀬戸内の小島生まれです。学生時代は国際法を少し。数年間の堅い団体職の後、子供好きが高じて学習塾を、風が好きでスカイスポーツのイントラを、等と趣味と仕事が重なる生活を数十年経験しました。55歳引退計画に従って現在は基本的にフリーですが、相変わらずあれこれ忙しくしています。

生活方針は「無理をしないでゆっくりと」およそ中庸を好みます。東西を問わず古典思想の多くに心惹かれます。まずは価値相対主義を採用し事物の多様性を愛しますが、ミソとクソを同等にはしません。モノゴトには自ずと高低浅深があり、その判断基準は「大自然の摂理と全ての生命(いのち)の幸福」の中にあると思います。敬愛する人物は古今東西少なからず、良寛やB・ラッセルを含みます。

ナチュラリストと呼ばれることを好みますが、人間が創り出した道具類にも大きな関心を持ちます。人間語だけでなく、あらゆる生き物たちの「ことば」に興味が尽きることはありません。60~70年代ポップスや落語を聞いたりすることも好きです。

・著作:『空を飛ぶ・一つの方法』
・訳書:『リリエンタール最後の飛行』
・訳書:『個人と権威』

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